風と君を待つだけ

~my ordinary days vol.3~




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誇りを持つ。 :: 2009/01/15(Thu)

 駅前には全面ガラス張りになった割と大きな交番がある。今日はそこに赴いた。しょっちゅう交番の目の前にある横断歩道を信号無視して自転車で渡っていたので逮捕された・・・わけではなく、無くした手袋を受け取りに行ったのだ。

 月曜に大阪の実家から戻り、仕事場に出勤する前に、急いで自宅に戻る必要があったのでタクシーを利用する。
 駅前に留まっているタクシーは「日本一ガラが悪いのではないか」と、内心思っている私は、最近、乗車するときには、相当注意深く、丁寧に「短い距離ですが、構いませんか」とお伺いを立てる。「ええ!そんなこと気になさらないで!ご遠慮なく!!」と東京の運ちゃんは言うそうだ。大阪の運ちゃんだって、意外と紳士である。いつも自ら席を下りてトランクから私の旅行バッグを下ろしてくれるし、「お気を付けて」だの「おやすみなさい」だの「お忘れ物ございませんか」などと言って微笑むのだ。
 以前、暮らした町のタクシーの運ちゃんの一人には「おっちゃんの船にいつか乗せてあげる」とナンパされたことはあったが、皆、気のいい人が多かった。要するに、私はこの町に来るまで「タクシーの運転手」という職業に何の不審も持ち得ずに来られた幸福者だった。

 話を戻そう。「短い距離でもいいですか」の質問に、駅前タクシー運転手は、面倒くさそうに首をタテに振った。もちろん感じはよくなかった。と言っても感じがよい人のほうが圧倒的に少ない。ある者はやたらに運転が乱暴だったり、あるときは、自宅付近の大きな病院を知らぬ存ぜぬで通して私を威圧した輩もいた。白タクに運賃を余分に取られたこともあった。そうやって私は僅か2年足らずで何度となく通報したり会社に苦情申し立てをしている有様なのだ。
 その日も、私は小さくため息をついた。どこそこのあたりまで行って頂けますか?と丁寧に申し上げても、返事もしない。きっと彼は自分の職業に何一つの誇りを持っていないのだろう。こうゆう時、近頃の私は、身を乗り出して、助手席の前に立ててあるネームプレートに書いてある運転手の名前を小さな声で読み上げながら、携帯電話の下書き欄に、会社名とその運転手の名前を入力する。いわゆる私なりの『ブラックリスト』作成である。下りるときには、にこやかに「どうもありがとうございました」と一応は言う。最後の最後までこちらはあくまで丁重な姿勢は崩さないのが、自分の意地だ。本当は心底、「悪いやつには天罰よ、くだれ」と祈っている。

 ところが、そうした私の心のどす黒い感情が招いてしまったのか、自宅に着いた折りに手袋が右手だけ見あたらない。きっと、さきほど携帯に打ち込む際に無意識に取って、バッグに入れたつもりが、タクシーのなかに落としてしまったのではないか。すぐに今、控えたばかりの会社に電話して落とし物をしたかもしれない、と伝える。運転手の名前も分かっている。すると、数分も経たないうちに運転手本人から連絡があり、「手袋は見つかったので、駅前の交番に届けておく」と言われた。なんだ、思ったほど悪い人でもなかったのか・・・あぁ、見つかってよかった、と安堵した。
 職場に赴く前に、直ぐに交番に立ち寄るとまだ届いていないと言われる。そして、今日再び訪ねることができた。『あぁ、はいはい。これですね?』とおまわりさんが笑顔で持ってきたのは、私の手袋ではなかった・・・。私のはそんな薄汚れた茶色いのじゃないくて、指先が黒いんです。もう少し洒落ているんです。どっと悲しい気持ちになった。

 そうしたわけで、遺失物届けを交番で書くように促された。「はぁ・・・もう出て来ないような気がするなぁ。だってね、おまわりさん。私の新年のおみくじに書いてあったんです。失せ物、出てこないって」と言うと、若いおまわりさんは「ボクもですね、仕事が不調って書いてあったんですよぉ。でも、ボクは悪いことは気にせーへんようにしてるんです」。
 おまわりさん、あのね、ちょっとは職業柄、身辺の安全は気にしたほうがいいと思いますよ・・・と心で呟きながら、とぼとぼと交番を出て、また「なんでここに信号機付いてるんだろう?」的横断歩道の信号を、交番の目の前で無視しつつ、「あぁ、こうゆう小さき罪を毎日犯しているから、カミサマは私を罰しているのかなぁ」などと思うのだった。

 せっかっく縁あってやってきたこの町を好きになりたい。と来たばかりの頃、一生懸命に思っていた。けれども、それを阻害するような出来事にも多々遭遇している。
 同僚に、パリと東京でしか暮らしたことのなく、数年前にこの町にやってきたという方がいた。その方がこの春で転出されることを先日知った。彼はよき人だった。バスで会えば、高知の田舎の話ばかり共にしていたのだ。彼にとっては愛すべき故郷であり、私にとっては時に私を踏んづけ、私という人間を鍛えた郷愁の町だったから。

心に愛を咲かせましょう。 小田さんが、かつて「生まれくる子どもたちのために」という曲のなかで、「子どもたちに何を語ろう」と問うた。問題提起である。日本を愛したい。でも、このままじゃ僕らの国は、一体、どこにいってしまうんだろうと気持ちで書いたそうだ。にわかに私のなかで、この一節が、自身の心にぴたりと符号するのだった。
 自身が働くこの町を少しでいいから誇りたい。私たちは、この町に生まれくる子ども達に何を誇れるのか。何を語れるのだろうか。シャッターがほとんど閉まっている商店街。諦めきった自治体。それでも、小さな草の根的な市民的活動は沢山あることがちょっとずつ分かってきた。私が探しているものはこの町にだってあるのではないか。

 まだ、希望は持っていたい。 

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Megちゃん、こんばんは。

小田さんの歌には「誇りを持って生きる」ってことを主題とした
曲がいくつかあるよね。代表的なのは、このブログのタイトルに
なってるあの曲だね。

君の住んでる街のタクシーの話を聞く度に胸が痛むよ。
そんな人でも、人の親であり、自分の子供には偉そうに言ったり
するんだろうな。そう思うだけで、腹が立つ。

恐らく、その運転手たちは待遇もそんなに良くなくて、「こんな
給料じゃやってられねぇぜ」「えっ!そんな近くをちんたら走って
たって商売にならないんだよ」ってとこなんだろうね。

極々当たり前のことを書くけど、そんなことこっちには関係ないし、
それより何より、あんたそれ職業としてやってるんだから、
もうちょっと仕事に誇りを持てよと言いたいよ。

"あんたの個人的な感情で「ちんたら」仕事されると迷惑だってね"

と、いつになく怒りがこみ上げてきた僕でした。すまんね。
元気で過ごせよ~!負けるなよ~!
  1. 2009/01/15(Thu) 22:24:57 |
  2. URL |
  3. Sato #9xlPEuy6
  4. [ 編集 ]

Satoちゃん、こんばんは。

今日は先ほど知人の車に乗せて貰って早々に帰宅しました。
センター入試に体力を温存して備えねばなりません。。。

>小田さんの歌には「誇りを持って生きる」ってことを主題とした曲がいくつかあるよね

うん、そうね。
このブログタイトルの曲は、イントロを聞くだけで涙を拭って
(別に泣いていないけれど:笑)
すくっと背筋を伸ばしたくなる曲です。
「誇り高く生きる」を実行するのは難しくても、
「誇りを持って生きたい」と願い、ささやかな事柄を実践して
いくことは出来ると思うの。

>君の住んでる街のタクシーの話を聞く度に胸が痛むよ。

もちろん、全てのタクシー運転手を悪く言うつもりはないの。
中には顔見知りで、愛想が良く、車を常に清潔に保ち、
よく話を聞いてくれる(つまり、私が消費者として感じる
タクシー業界の実態について)奇特な運転手さんもいます。
ただ、あの駅は、県の顔となるべき場所なのに
あそこに並んでいる運転手たちの程度がヒド過ぎるのは本当です。
それは、タクシー業界でもよく言われているんだって。

どうしてなんだろう?何故、誰もが自明視していることが
全く改善されないんだろう。そう思うと哀しいですね。

>元気で過ごせよ~!負けるなよ~!

お~っ!v-220

追記:
日頃の信号無視は、いくら車が通らない道でも
やはりイケません。反省します。
  1. 2009/01/16(Fri) 18:58:06 |
  2. URL |
  3. Meg #T0ca3UNU
  4. [ 編集 ]

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