風と君を待つだけ

~my ordinary days vol.3~




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旧友再会(高知編) :: 2009/02/18(Wed)

 第二のふるさと高知県へ出張に出る。育児休業を取得して復帰間もない友人に替わって3日間の集中講義に出向いてきた。
 入試シーズン、卒論指導、そのほかにも山のようにすべき事柄を抱えた中で、15コマ分の授業準備も当然大変だったけれど、それ以上に90分授業を×5コマ×3日連続といったスケジュールでこなすには、体力的な消耗は否めなかった。こうして終えて戻って来た今でも、よくぞ途中で倒れるとか、声が出なくなるとか、大きな破綻なく終えられたことと思っている。

 学生たちは、おしなべて真面目で、言われたことに素直に取り組む「素直」を絵に描いたような諸君であった。一日目は、私語一つない教室だったが、中盤の演習形式に入ると、次第に学生たちとも打ち解けはじめ、学生間の交流も深まったようだ。とりわけ数名しかいない男子学生たちによる私のファッション・チェックは日ごと行われた。彼らから出た質問は一つか二つを除けば、すべて私の身につけているものに関してであった。そのあたりが、どうもウチの男子学生たちとは違った。「先生、その洋服はもう春物ですか」「先生、その帽子は上等なんですか」「先生、今日はピンクの帽子ですね。何個持って来たんですか」最終日には、白い帽子についたボンボリを「先生、そのボンボリを取ってみたいんですけど・・・」。どさくさに紛れて、「先生、もう今日はこれで授業やめませんか」・・・などなど。
 それはともかく、情報系に強い理系男子ふたりが、自然と私の助手的な役割を担ってくれるようになった。慣れない広い学内を無駄に右往左往するストレスを少しばかり軽減してくれた。
 授業構成については自分なりの反省点を多々残したが、概ね、途中を端折りつつも、かたちとしては目的まではたどり着くことが出来たかと思う。この経験は、今後のおおいなる糧になるに違いない。

 久しぶりの高知にやって来たという「感慨」は、一日目が終わったあと、激しい疲労のなか真っ白な頭になりながら、夕飯を求めて街を彷徨い歩いている最中に、何の前触れもなく胸に溢れてきた。2年ぶりに歩く帯屋町商店街。同僚と一緒に、よく出向いたとあるお店の看板が目に飛び込んで来た瞬間だった。その瞬間、何か訳の分からない感傷に咄嗟に襲われて、ふいに涙ぐみたくなった。
 大好きだったひろめ市場は相変わらず盛況であった。私は定番のかつおの叩き定食を頂いた。予約席しか空いていなかったけれど、「お客さんが来るまでどうぞ座ってください」と言って座らせて貰った。突然、「せんせーっ!!」と声が聞こえた。なんと、以前勤めていた大学の卒業生であった。結婚したばかりの彼氏も一緒だ。当時、彼女を含めた学生たちがよく冬になると私の暮らす官舎に鍋などをしにやって来たのだ。そのときの学生ーの一人で、唯一私の自宅に泊まって、翌日のお昼ご飯まで食べて帰った人なつこい女子だった。
 そのころから、つき合っている彼の話は、可愛いらしいワルクチも含めて色々と聞かされていたが、多大な危機を乗り越え結婚に至ったのだという。彼らは今、彼女の実家がある九州に暮らしているそうだが、たまたま高知に遊びにやって来たところ、私を目撃してしまったと言うのだから非常にドラマチックな再会である。「先生と私は運命的な繋がりなんですよ!また会いましょう!」と言いながら手を振ってにこやかに二人で立ち去って行った。ほぼ廃人のような顔をしながら食事をしていたような気がするが、この出来事で、私の細胞も一瞬、かなり活性化したかもしれない。
 
 高知での「旧友再会」はまだまだあった。
 3日目のお昼休みには、かつての同僚の友たちが3人ほど集まり、お店を予約しておいてくれたのだ。一人は同世代の女性で、あとの二人は一回り近く離れたおじちゃんたち。ほんの1時間ほどだったけれども、互いに色々と大変な大学の状況や個人的な問題を抱えていることは察せられた。そうしたことは敢えて言葉にせず、変わらない笑顔を確かめ合った私たちだった。
 かつての同僚の女性は、あの後、ご家族に事情が色々あって、「実はしばらく笑っていなかったんだけれど、こんなにおかしくて楽しくて、大笑いしたのは久しぶり」と言って頬を染め、少し瞳が潤ませていた。その顔がとても愛おしかった。彼女独特の可愛らしいユーモアと茶目っ気を絶対に失わせてなるまいと、私を含めおじさんたちの間には、祈るような気持ちが存在していることは確かだった。そういった誰もが抱える、決して明るいだけではないそれぞれの人生の一面を払拭するように、競うように笑顔を見せあいながら優しい時間を過ごした。

 3日目の講義が終わったあとは、果たして関西まで戻れるだろうかと思うほどの疲労感だった。それでも、何とかこうして帰ってきたのだ。高知空港まで、久々にタクシーを利用したけれど、このほどタクシー乗車においては散々嫌な思いをしてきた私には、その運転手は泣けるほどに親切で感じのよい紳士だった。「また、高知においでくださいね」と言ってトランクから荷物を出し、笑顔で見送ってくれた。

まつぼっくりみっけ。 こんなに過酷な集中講義は、もう二度と引き受けまい、と行く前は思っていたけれど、今の私は、時期さえ選んで4日くらいに分ければ、もう少し楽に何とかやり遂げられる気がしている。「一度経験しておく」ことに勝るものはないのだろう。出来るところまで器量をちょっと越えてもやる。ひょっとすると、それが今の自分のテーマかもしれない。今週いっぱいで山場を一つ越えられる見込み。

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すてきな文章に、なんだか自分の細胞も元気になってきた感じがします。「何の前触れもなく胸に溢れて」くる感慨、「独特の・・・失わせてなるまい」という「私を含めおじさんたち」の祈るような気持ち、そういった人間の優しさそのもののような心の動きが、あなたの文章で表現されるのを読んで、言いようのない安心感に包まれています。高知での過酷な、ゆえにすてきだった日々、おつかれさまでした。
  1. 2009/02/18(Wed) 23:53:59 |
  2. URL |
  3. た #-
  4. [ 編集 ]

たくちゃん、こんばんは。

社会人になって以来の多忙さ感じています。
でもね、これはまだ始まりに過ぎず、少しずつ増してゆく器量に合わせて幾らでも、仕事って舞い込んでくるのね・・・っておそろしい実感が伴って来た今日このごろ。

そんな日々に、こんなにも個人的に綴った内容の長文を隅々まで読んで共感を得られたことが、とても嬉しかったわ。

高知での3日はもう修行のようでもあった一方、それでも学生諸君も含めて出会った人たちの顔を思い出すと何処かしら口元がほころんでくるような気がします。

早速、集中講義中に課したレポートが届いているけれど、あの短い時間で、案外学生たちが真面目に(それに意外と楽しそうに)取り組んでくれたことが分かるような内容でほっとしています^^

それにしても、私は一日目、あまりに広くて古いキャンパスで迷子になったの!夜も7時近くなるともう暗くて正門がどっちだったか、わかんない・・・。「うぉーん。だれかぁ~正門まで連れってって~(涙)」と心で叫びながら、半泣きでパソコンと重いキャリーバッグを持って彷徨い歩いた切ないシーンも(笑)
  1. 2009/02/20(Fri) 00:08:28 |
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  3. Meg #T0ca3UNU
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