風と君を待つだけ

~my ordinary days vol.3~




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ありがとう、と言われること。 :: 2009/09/06(Sun)

 「本当に急いでいるんですっ!!」

 と、ほとんど怒鳴り声で叫んだのは、先日、タクシーのなかでのこと。
 外でそんな声を出すことは普段まずあり得ないので、自分のとがった声にびっくりした。

 多忙が続き、朝、相当起きあがるのが辛く、アラームを止めて知らずに寝てしまった日。急いでタクシーを呼んで、朝一の会議に向かう。キャンパスには着いたけれど、研究室はもっと山道をのぼった上にある。体力的な問題も考えて、珍しくふもとから研究室棟までもタクシーで直行を決める。
 時計を見ると、このままま問題なく行けば何とか滑り込みセーフだ。しかし、上まで行くには、小さなゲートを車が超えて行かねばならない。そのゲートでは、守衛からカードを貰い機械に差し込まねばならない。システムはころころ変わっているようだけれど、当然、その事実は外部の人には周知されていない。いつも不思議だけれど、そういった決まり事を呼びかける看板も立っていない。
 車が二台やって来ているのに、困ったことに、ゲート付近に守衛が控えていない。確かずっと以前も同じことがあったことを思い出す。前に停車した車もどうしていいかわからないようで、立ち往生している。そこにどこからか守衛の男性が、悠長に歩いてきた。「おまえ達は仕方がないやつらだ」と言わないばかりの変に強面な顔をして。カードを受け取るには、自分(守衛)が立っている側まであちらからずっと迂回して来い、と説明しているようだ。

聞こえしは希望のうた。 こちらは急いでいるからタクシーを使ってまで来たのだ。ところが、守衛は、タクシーの運転手に、すぐにはカードは手渡さず、まるで重大な規則違反をした犯人を諭すような口調で「あそこを迂回してこっちに来て・・・」と長々とお説教をはじめた。私は、たまらずに「あの・・・すみませんが、私、すごく急いでいるんですよ」と窓越しに言った。そのときは多分、悲痛な訴えだった。しかし、彼は私をいちべつすると完璧に無視をして、また同じことを運転手に説明しはじめた。その瞬間に我を忘れて、あげたのが冒頭の自分の声だ。
 結果的に会議にはぎりぎり間に合った。タクシーをおりるときに「すみません、大きな声を出してしまって」とわびた。何度か乗ったことがある顔見知りの運転手だった。「いえいえ、なんてことないです」と運転手は機嫌よく答えた。
 
 自分が悪い。ちゃんと予定どおりの時刻に起きられたら問題はなかったのだ。少し落ち込んだ。

 あの守衛は、おそらく自分の「存在意義」をあんな方法によって示そうとしているのだ。彼が気持ちよく仕事をしているようには見えなかった。もしかすると、これまで、彼に「どうもありがとう、守衛さん」と言う人が一人もいなかったのかもしれない。大きな声で怒鳴った相手の顔はもう全く記憶にない。その「不遜」と思えた態度だけしか。けれども、今度、いつか何かを尋ねたり聞いたりしたときは、きちんと「ありがとう、守衛さん!」と言おうと思った。
 
 話は飛躍する。社会のなかで「困っている」ひとを自分から作っておいて、さも善人のように手をさしのべるふりをする政治家よりも、多くの人が困らないように、たとえ誰に褒められずとも誰に認められずとも人知れず淡々と道につもる雪をかき、ゴミを拾い、そして花を咲かせ続けられるような人々の存在が日本を変える、と私は思う。このような仕事をしているからこそ、ではあるけれど、盲目的に「啓蒙的」なことを言う人を私は警戒する。

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