風と君を待つだけ

~my ordinary days vol.3~




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誰も見ていないところで何をするか。 :: 2009/11/13(Fri)

 一週間の終わりに20名少しの講義を持っている。これが、毎回なかなかの手応えがあり、毎週楽しみだ。これだけ少ないと、学生と物理的にも心理的にも距離を近く感じるうえに、各々の顔がよく見える。きっと、この授業内容と私、そして学生たちとの相性が良いのだろう。授業が終わっても、たいてい数名が、まだまだ話し足りない様子で教室に漂っている。

 どの講義でもそうだけれど、最前列に並ぶ諸君は最も熱心な人々だ。一言も漏らすまいと聞いているし、授業後には質問も怠らない。今日はその最前列にいつも座っている一人の青年が、授業後に私が適当に消し終えた黒板を、さらに徹底的に綺麗になるように丁寧に消し直してくれていた。「あら、どうもありがとう」と、声をかけると、何故だかとても嬉しそうに「先生?今日、何か気づきませんでした?」と言いながら、黒板のチョーク置き場を指さした。
 「あ!そうそう、今日はね、白いチョークが沢山あったの!」

お寺で座禅 その教室には、この数週間ずっと白いチョークが切れていた。二週間くらいに渡って「あっ、また白いチョークがないなぁ。いっか。このちっちゃいやつで」「まぁ、いいや。今日は黄色い文字が多いけどね」とか言いながら、短いチョークで不必要に手を汚していた。教務で貰ってくれば良いものを、いつも忘れてしまう私のために、彼がほかの教室から余っている数本を持って来てくれたらしいのだ。
 「そうだったの!?ありがとうー、M君!!」と、私は心底、感動してお礼を言った。「それだけじゃないんすよ」と隣に居た友人が言う。「こいつね、授業前に、ここの黒板を綺麗に消しているんです」と言う。そういえば、授業前に教室を覗いたとき、窓を開けてきちんと換気がしてあった。狭い教室だからチョークの粉末で匂いがこもってしまいがちなのだ。黒板を消すたびに、私は眉をひそめて息を止めていたんだっけ。
 
 ほとんど抱擁してあげたくなるくらいの気持ちで私は彼に「なんて、よく出来た子なの、あなたは!ほんとにありがとう!」と言った。すると、ちょっと照れくさそうに「へへへ」と笑っていた。
 彼は、私が授業はじまりに教壇に立った折り、何故か私のことを見てくすっと笑ったことを思い出した。「ん?どした?何がおかしいの?私が面白いの?(笑)」と冗談を言ったところ「いやぁ、今日は帽子が無いなって思って・・・」と答えていた彼は、ずっと授業中に私が、真新しい白いチョークの存在に気づいて「あ、今日は白いチョークがあるよ!」と嬉しそうに言うのを待っていたのではないかと思うと、ちょっと胸がきゅんと鳴る。
 
 心が洗われるような出来事だ。この大学の教員になれて幸せだ、とまで思った。
 
 話は少し替わり、

 大教室では致し方ないとしても、私はパワーポイントをあまり多用しない派だ、現在のところは。
 配布資料がやたらと多いことが特徴で、それはそれで学生には評判はよかった。手元に授業内容が殆ど書いてあるものがあれば、学生も安心だろう。でも、最近はそれを少しずつ減らしている。行間は、口頭での説明をしっかり聞き取って書き取るように言っており、黒板は、その補完として使用しているつもりだけれど、意外と沢山書いてしまう。「字なんて全く書かない」という先生もいるから、教え方の方法は様々だ。
 この頃では、ネット上に毎回の授業レジュメをアップしたり、あるいは授業風景の映像が閲覧できるなど、講義を欠席した学生のフォローを図る試みも当然のように行われている。私の学生時代などは、休んでしまうと、毎回必ずきちんと出席している優秀な同級生の完璧な「ノート」が頼りだった。そのノートが試験前にコピーされて売られていたとの話さえ聞く。懐かしい時代だ。
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最近は講義ノートなんて売ってないのかい?コピー防止用に不思議な模様の入った安っぽい紙に印刷されたノート。あれがなかったら、ぼくは5年では卒業できなかっただろう。
「誰も見ていないところで」なるほど、なかなかやるね、彼は。たとえ彼の仕業だと発見されなくても、彼はそれなりに幸せなんだと思うけど、やっぱりちゃんと自分の仕事をあなたが見つけて喜んでくれたことに、より大きな幸せを感じたのではないかと思う。「誰も見ていないところで」行うのはやはり「誰かを喜ばせること」に費やされるべきだね。黒板を拭いた後に窓を開けておくって、心憎いね。
  1. 2009/11/17(Tue) 03:12:23 |
  2. URL |
  3. た #-
  4. [ 編集 ]

はい、二つめのお返事行きます。

で、コメントされた時間を改めて見てびっくり。
いったい何時に眠っているの?

>コピー防止用に不思議な模様の入った安っぽい紙に印刷されたノート。あれがなかったら、ぼくは5年では卒業できなかっただろう。

と言うことは、せがたくは購入者だったのか!(笑)当時でも、私はそういうのは見たことなかったね。今もひょっとして闇市でこっそりと売られていたりする、かもしれないね。教養科目の先生で、時間割上、受講生は毎年一杯居るんだけれど、ものすごくごっそりと学生を落とす方がいるんだよ(笑)優秀な学生でも、だいたい「可」の60点しか貰えないらしい。そういう名物先生対策は、先輩から後輩に引き継がれているかもしれないね。

>「誰も見ていないところで」行うのはやはり「誰かを喜ばせること」に費やされるべきだね。

名言だね!誰も見ていないところで淡々と自分を磨くのもいいけれど、誰も見ていなくても誰かのささやかな笑顔を守るために、何かを続けられることって素晴らしい。そういう人たちがいる限り、日本はまだ何とかやっていけるだろうと思うよ。

>黒板を拭いた後に窓を開けておくって、心憎いね。

ほんとうにそうなのよ。そういう行為や気持ちって、確実に伝染するのよ。自分もそうありたいなと思ったもの。私は若い学生にそんなことを教えられて幸せ^^
  1. 2009/11/17(Tue) 23:30:37 |
  2. URL |
  3. Meg #T0ca3UNU
  4. [ 編集 ]

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