風と君を待つだけ

~my ordinary days vol.3~




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路上で歌う若者たち。 :: 2010/04/14(Wed)

 路上で歌う高校生の女の子と握手をした。自分から求めて。

 いつも駅前でギターを抱えて歌っている少年少女の姿を目の端で眩しく見つめていたけれど、立ち止まることはなかった。何だか過ぎ去りし青春と対峙して感傷的になりそうでもあり、青くて眩しすぎて直視できないような気分でもあり。
 真冬の空の下でも歌声は毎週のように響き、人気者の前には数十名の人の群れが出来ていた。明らかにギター・ブックをコピーしている男の子たちの前にさえ、「私たちだけはあなたのファンよ!」と言わないばかりに仲良く2人、3人の少女たちが、必ず短いスカートの制服から出した素足を寒そうに両腕で抱えながら、三角座りをしていとおしそうに身体を揺らしていた。
 似つかわしくないと言っては失礼だけれど、時には、おじいさんのような男性が、少し離れたところから、とてつもなく優しい眼差しを若者たちに送って手拍子をしている時もあって、それは何故かぎゅーっと胸をつかむ風景でもあった。
 
 一度も立ち止まったことがない自分が、何故、アコギをかき鳴らす高校生シンガーに「一曲、歌ってちょうだい」とお願いしたかと言えば、彼女がその日連れだっていた知人のお嬢さんの同級生だったから、である。知人の娘さんは何度か会ったことがあり、ひらひらと私に遠くから手を振ってくれた。
 その親密なノリが連鎖して、「ね、一曲、何か歌ってくれない?」と願い出ると、彼女は「じゃ、これを」と少しだけはにかんで歌い始めた。彼女は想像以上に歌が上手で少しびっくりした。実は全く期待していなかったのである。僅か高校1年生にしてオリジナルソングだった。中音域の乾いた声と、高音でよく響くファルセットは心地よい歌声だった。ノートにものすごく小さな薄い文字で歌詞を綴っていて、その上にコードが記されていた。

 まんまるい文字は若い子そのものだったが、その歌詞は、しかし、全く幼稚ではなかった。「愛する人」に向けた曲だった。私は風で吹き飛ばされそうになる楽譜立てに載せられたノートを、そっと押さえてあげながら二番を聴いた。

 「もしかするとプロのシンガーになりたいの?」「はいっ」と間髪入れずにためらいなく彼女が答えたとき、それが叶うとか叶わないとか関係なくとっても清々しく響いた。
 「とても上手だったよ。いつか大物になったら、うちの大学の学園祭に来て歌ってね!」と言うと嬉しそうに照れていた。そうだ、ついこの前に新しく名刺が出来たの。はいっ。と渡しながら、ひょっとすると近い未来に音楽界にデビューしているかもしれない、していないかもしれない、それでも夢が一杯詰まった彼女に、手をさしのべて握手をして「もらった」。

 ギターを一生懸命にかき鳴らしたあとのひんやりと冷たい手だった。

  1. 未分類
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  3. | comment:4
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comment

Megちゃん、こんばんは。

いい話だよね。情景が浮かんで来て、一気に読んでしまいましたよ。

僕も大抵は路上でライブをしていても、あまり関心が向かないんだけど、それでも2回ほど
演奏している前に置いてある自主制作のCDを買ったことがあるんだよね。

でも、彼等がその後有名になったという話は聞かないし、きっとダメだったんだろうと
想像するけど、それでもCDを買ったぐらいだから何か光っているものがあったんだろうね。

その子、成功すると良いね。
今度、機会があったら聴いてみたくなりましたよ。

あっ!その時、僕も握手しても良いですかね?(^^;
  1. 2010/04/14(Wed) 22:32:34 |
  2. URL |
  3. Sato #9xlPEuy6
  4. [ 編集 ]

路上のシンガーの多くは「こりゃキツイなぁ」と思うパターンですが、それでもたまに足が止められ引き込まれるくらい歌力のある子がいますよね。
僕らの街でさえ時に出会うのですから、きっとMegさんの住む街なんて遥かに多いのでしょう。

以前レコード店で働いてた頃は毎日新譜発注書と睨めっこ状態で、毎週何十組もの新人の解説を読んで「これが売れそうかなぁ…」などと悩んだもんです。
それを思い出せば年間に何百・何千組ものアーティストがデビューして、数年後に残れるのは僅か数組みたいなものでしたか。。

そういえば熊本の路上で歌ってた子が今日メジャー・デビューしたんですよ。
名前は「舞花」といってボクも初めて彼女の歌を聴いた時、仕事の手を止めて聴き入ってしまいました。

Megさんが握手をされた子もいつかチャンスをつかめるといいですね。
実力と運、どちらもとっても大事なものですから^^
  1. 2010/04/14(Wed) 23:35:41 |
  2. URL |
  3. yui #GYfx15Bo
  4. [ 編集 ]

Satoちゃん、こんばんは。

Satoちゃんも知っているあの駅前では、
本気でプロを目指している子たちから
自分のことをただ誰かに見てほしい・・・自分がここにいるのを
知ってほしいって子たちまで、実に色々な子たちがいるよね。

そんな中で、私が出会った少女の周りにいたのは
同級生の女の子が2人と、センパイの男の子、そして大人は
私とその知人だけだったの。
その子はね、事情で学校をやめて夢をかなえるために遠いところに旅立つという話だった。
すきな人達、応援してくれた人達だけのために歌っているようでもあったよ。

こんな言い方をするのは甚だ無責任だけれど、彼女がプロになれるとか、なれないとか
実はあまり関心がなく、本気で夢を夢中で追いかけている今、あなたは輝いている!と伝えたくて。
とっても眩しかったから。

「いつかウチにライブに来てよ」って言うのはもちろん満更でもない気持ちだったよ。
もう少し言うと、私自身が二十代の真ん中あたりで、私は将来はどうなるんだ、このまま行って・・・
と思っている時期に、音楽の恩師に唐突に「おまえ、大学の先生、なれよ。向いてるから」って
言われたのだよ!
そういうすり込みによる「思いこみ」って大事だったなぁ・・・と今頃思い出して(笑)

Satoちゃんも何時かどこかで言っていたでしょう。
のぼりつめようと必死になって頑張っている、その時が一番魅力的に輝いて見えるって。

この記事を書いてから、Satoちゃんがくれたアンジェラ・アキの武道館ライブのこの曲↓
を久しぶりに聴いて、思わず涙したよ。当時、ちょうどこちらに移って間もない頃だったね。

「サクラ色の私を忘れない・・・」って歌詞のサクラ色の自分は
私にとってまさに苦境と闘っていたあの頃の自分自身だと思ってさ。
歩幅は大きくなくとも、一つずつ一つずつ進んで行こうと思える名曲。

http://www.youtube.com/watch?v=ZFAH4yP4xRI&feature=related
(アンジェラ・アキ:サクラ色)
  1. 2010/04/15(Thu) 00:03:55 |
  2. URL |
  3. Meg #T0ca3UNU
  4. [ 編集 ]

yuiさん、こんばんは。

yuiさんはレコード店で働いていらしたのですね!
どうりで耳が肥える筈ですよね。

私も、むかーし大阪は心斎橋にあるお店のお兄さんと小田さん
繋がりで友達になったことがあったなぁと思い出しました。
ものすごく古い記憶ですが平井堅に似たハンサムな男でした(笑)

さて、どうでも良い話をしてしまいましたが、
私も耳だけは良いので、路上であまりに残念なギターの音を
出している子たちの前では「チューニング狂ってる・・・」と
小さく呟きながら素通りする意地悪ばーさんです(笑)

でもね、時々歌声と言うか「歌詞」にやられてしまうこともありますよ。
相当疲れて歩いているんだと思いますが、私(苦笑)
ただ、メロディだけでなく歌の中身が聞こえて来るってことは伝え手としての資質はありますよね?

>名前は「舞花」といってボクも初めて彼女の歌を聴いた時、仕事の手を止めて聴き入ってしまいました。

それは、それは。「舞花」ちゃんって何とも言い名前ですよね。
いつか何処かで歌声を聞くことがあるのでしょうか。
yuiさんが推すくらいなので私も期待したいと思います!

そして、yuiさんも好きなSuperflyが歌い上げるこの名曲も
今夜私は聴きましたよ。
なんと素晴らしく響き渡る歌声でしょうか。

http://www.youtube.com/watch?v=7q4mM1adte8&feature=related
(Superfly:Desperade)
  1. 2010/04/15(Thu) 00:21:09 |
  2. URL |
  3. Meg #T0ca3UNU
  4. [ 編集 ]

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