風と君を待つだけ

~my ordinary days vol.3~




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大谷君。 :: 2010/05/03(Mon)

 大谷君というのは、私が小学生の中学年あたりにクラスメートだった少年の名前である。定かではないけれども、大谷君以外の名前以外をどうしても思い出せない。
 
 彼はお昼の給食時だけ、やたらにと目立つクラスにおけるちょっとしたヒーローだった。
 当時、大抵は担任の先生は一緒に、生徒たちと給食の時間を過ごしていたが、途中で用事があるのか職員室に戻ったきり、そのまま当分教室にやって来ないこともしばしばあった。そのときとばかりに、悪ガキ達は机を四つほどかき寄せて「大谷君のワンマンショー」用特設ステージをあっという間に作ってしまう。
 大谷くんは、ややふくよかな、授業中はさほど目立たないけれども、とびきりに明るい少年だった。そのステージではショートパンツの後ろがはち切れちゃいそうだと思うくらいに、お尻をふりふりしながらアイドルの歌真似を披露したり、とにかく給食の時間に同級生をいかに笑わせるかに命をかけていた。毎回、とてつもなく盛況で、同級生たちはげらげらと笑いあい、ある生徒は、飲み始めた牛乳を、大谷くんの滑稽な動きのせいで吹き出すこともしばしばだった。
 当時は、後々まで牛乳を残しておくとトンデモナイ目に遭うのだ。同級生がこぞって彼や彼女たちを取り囲み、牛乳を口に含むやいなや競っておかしな顔をしたり、ずっこけて見せたりして、「いかに牛乳を吹き出させるか」に試行錯誤を繰り返していた。吹き出した牛乳の勢いが凄ければ凄いほど、教室は白熱して笑いの渦に巻き込まれる。もはや、この小学生だけにしか通じない笑いを誰も止めることは出来ないのであった。

散歩中、人んちのお家の前で。 そして、先生はと言えば突然に教室に戻って来ることがあった。先生は、生徒たちがそうやって行儀悪く給食時に騒ぎまくっていることは何でもお見通しだっただろう。誰かが「あ、先生帰ってきたで!!」と言えば、大谷君は即席ステージを飛び降り、悪ガキどもは即座に机を元に戻して「何事もなかったかのような顔をして」自分の席に戻って座ってみせる。でも、皆の顔はさっきまでの高揚と抑制しがたい笑いでいっぱいだ。先生が「・・・・おまえら、オレがいない間、なにかしてたやろーーっ?!」と言うのがスイッチとなって、教室はまたぎゃはぎゃはと屈託のない笑みで一杯になる。

 大谷君がいてくれてよかったと思う。
 小学生がみな見た目通りに屈託がない、という訳では決してないのである。それでも、こうして私の記憶に留められた小学生のある時期までが、彼のおかげで、素晴らしくおおらかで、ばかばかしく、幸福な日々であった、と断言して綴ることができるのだ。

 あの頃の給食メニューで好きだったパンが黒糖パン。少しほんのりと甘くてふわふわしていて食べやすかった。ハタ君という成績優秀で、女子にも完璧に認められているイケメンがいたけれど、彼は毎回必ず出て来る固形のマーガリンを終盤までパンに付けるのを忘れており、どうするのか?と思っていると、最後の一口になった黒糖パンに、そのパンの1.5倍の量があるマーガリンを載せて一気に口に放り込んだ輩である。そういった端々は何故だか覚えていたくなくても、忘れないものだ。「私」という人物の些末な記憶も誰かの心にこんな風に刻まれているのだろうか。
 
 ちなみに、私の天敵はと言えば「冷凍ミカン」であった。その闘いの顛末はいつかまた綴ることにしよう。

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Megちゃん、こんばんは。

給食で黒糖パンなんて出たんだね。僕の時代はその存在すらなかった気がするな。
いや、本当はあったのかも知れないけど、少なくとも見たことも聞いたこともなかったよ。

で、給食といえば牛乳だけど、もう普通の本物だった?脱脂粉乳じゃないよね?
あれは、よく話でも聞くだろうけど、とても不味かったんだよね。
上に薄い膜なんか張っちゃってね。あれを湯葉とは言わないよね(笑)

しかし、大谷君やハタ君は今頃どうしてるんだろうね。
大谷君は今でも会社の飲み会ではヒーローだったり、ハタ君は女子社員の憧れの的
だったりするのでしょうか。

>ちなみに、私の天敵はと言えば「冷凍ミカン」であった。その闘いの顛末はいつか
>また綴ることにしよう。

今では絶対口にしない柑橘系をどうやり過ごしたか興味あるわ(^^)
でも冷凍だから、あんまり酸っぱくなかったんじゃない?
分かった!まず舌を凍ってるみかんで麻痺させてから食べたんでしょ?(笑)
  1. 2010/05/04(Tue) 20:01:59 |
  2. URL |
  3. Sato #9xlPEuy6
  4. [ 編集 ]

Satoちゃん、こんばんは。

連休もあと一日と思うと苦しくて、
職場に火を放ってやろうかと思わなくもないですわね(大冗談!:笑)

>給食で黒糖パンなんて出たんだね。僕の時代はその存在すらなかった気がするな。

・・・だろうね。
私とSatoちゃんでは過ごした時代が大正と昭和くらいに違うもんねぇ。

黒糖パンって、今はローカルなコンビニなんかで見かけるよ。
甘くてジャンクなマーガリンとよく合うのよ^^

>給食といえば牛乳だけど、もう普通の本物だった?脱脂粉乳じゃないよね?

・・・じーじがいったい何を言い出すかと思ったら(笑)

普通の本物って、「ミルク」のことですか?(笑)

私たちの時代は脱脂粉乳じゃなくて「スキムミルク」って言いまして、
非常に甘美な響きに加え、可愛いらしい缶に入っておりましたね。
母が何に使うのか知らないけれどもキッチンの奥に仕舞ってあり、
「あの白くてきれいな粉をぺろっと嘗めてみたいな・・・ほんのり甘いのかなぁ」と
夢ふくらませた「実に物珍しい」ものだったのよ。
わかったかー(笑)

>上に薄い膜なんか張っちゃってね。あれを湯葉とは言わないよね(笑)

ぜんっぜん想像つかない(笑)
この話はあーさんじゃないと分からないよ(注:あーさん=お髭のあの方)

>大谷君は今でも会社の飲み会ではヒーローだったり、ハタ君は女子社員の憧れの的だったりするのでしょうか。

そうかもしれないし・・・
大谷君は、この不況時代に会社を幾つも渡り歩くのだけれども、
その人を笑わす豊かな感性はそのままで
今はサービス業に就き、そこそこの富を得て元気に暮らしております。
ハタ君は真面目で優秀で動物好きな優しい青年だったから、
早々に結婚をして家族を大事にし、幸福の要素をすべて持っているが、
今は美少年の見る影もないほど髪が薄くなっており・・・
みたいな、ちょっと「もののあわれ」っぽい物語を好みます(笑)

>今では絶対口にしない柑橘系をどうやり過ごしたか興味あるわ(^^)

でしょー。この話をしたら、小学生の繊細な心のひだが垣間見られるよ。
これも「おもろかなしい(面白いく哀しい)」物語なので、また今度書いてみるわ!
  1. 2010/05/04(Tue) 21:35:12 |
  2. URL |
  3. Meg #T0ca3UNU
  4. [ 編集 ]

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